研究概要 |
タマネギ(在来品種‘早玉')、シャロット半数体倍加系統(タイ産系統‘チェンマイ'由来)と両者のF_1個体を供試して96通りのプライマー組合せについてAFLP分析を行なったところ、64組合せでそれぞれの両親に特異的でF_1へ遺伝するAFLPマーカーが得られた。次に,両親に特異的なマーカーの遺伝分離をF2世代38個体において調査し、そのデータを基に連鎖地図作成ソフト「JoinMap Ver.3.0」によりAFLP地図を作成した。タマネギでは56個のマーカーから成る11の連鎖群が形成された。それぞれの連鎖群は7,14,4,5,3,2,2,8,5,4および2個のマーカーから成り,長さはそれぞれ,27.5,36.0,10.3,14.8,13.6,2.9,10.6,26.7,18.8,16.0および3.0cMであった。また,シャロットでは30個のマーカーから成る八つの連鎖群が形成され,各連鎖群は5,5,5,4,3,4,2および2個のマーカーからなり,長さはそれぞれ19.1,10.6,16.3,13.2,7.5,27.6、19.9および3.0cMであった。さらに、F_2世代において種々の農業形質(ほう芽日,抽だい日,分げつ数,葯色および球皮色)に関する調査を行ったところ,いずれの形質においても連続的な変異がみられた。 一方で,8種類のシャロット染色体(1A-8A)をそれぞれもつネギ単一異種染色体添加系統シリーズを用いてシャロット染色体特異的AFLPマーカーの開発を試みた。18通りのプライマー組合せを用いてネギとシャロットの間で増幅ピークの有無を比較したところ,615本がシャロットに特有なピークであった.これらのピークの有無を添加系統シリーズについて調べたところ,単一染色体特異的にみられたピークは,第1染色体(1A)が19本,2Aが26本,3Aが27本,4Aが15本,5Aが19本,6Aが12本,7Aが12本および8Aが8本であった。同様の分析を30種類のタマネギSSRプラーマーを用いて行なったところ,合計24個の染色体特異的SSRマーカーが得られ,そのうちの幾つかが連鎖地図にも挿入された。最終的に,タマネギ第12連鎖群は第1染色体に,また,シャロット第1連鎖群は第3染色体にそれぞれ対応していることが判明した。
|