研究概要 |
1.ビワの根の生長に伴う内皮側皮層細胞にみられる細胞壁の内部成長並びにカスパリー線の形成 ビワの根の皮層細胞の肥厚は細胞壁の内部生長とみられ,その拡大の最終段階では細胞の半分程度を占有するまでに肥厚した.根の維管束の発達につれて,カスパリー線の自家蛍光が蛍光顕微鏡によって明瞭に観察できるようになった.二次維管束の発達とともに細胞壁の内部生長を示した皮層組織と内皮組織の間に離脱帯が形成され、皮層が離脱する段階では内皮の細胞層数が増加し,カスパリー線も数層に増大した.皮層細胞の細胞壁の内部生長はカスパリー線と同様に,根からの水分や溶質の損出を防御するのに機能していると考えられる. このような細胞構造の発達は、モモについても観察でき、バラ科果樹に特有な細胞構造であると考えられ、土壌乾燥に強い要因の一つであると思われる。 2.窒素施肥量の相違がモモ実生樹の根の維管束の分化・発達に及ぼす影響 モモの3年生実生樹を用いて、窒素施肥量の相違を検討した。根の維管束の分化数は窒素無施肥区では3-4個、ポット当たり3g,6g施肥区では5-7個となり、窒素施肥の増加にしたがって根群の発達とともに根の維管束数は明らかに増加した。 3.土壌乾燥処理がモモ幼樹の葉と根のソルビトール含量ならびに葉肉細胞の細胞核とデンプン蓄積に及ぼす影響 モモの台木用品種(おはつもも)の2年生実生樹を用いて土壌乾燥処理の影響を検討した.乾燥処理によって葉のソルビトール含量は増加したが,根のソルビトール含量には影響が見られなかった.乾燥処理終了後,かん水によって回復させた結果,かん水後1日目で葉のソルビトール含量も対照区と同じレベルにまで減少した.
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