研究課題
1.DNAデーターベース上でBLAST検索を行った結果、トマトのESTで登録されている[TAMU ovary]由来の機能未知遺伝子がウイロイドと約20塩基程度の相同性を有することがわかった。そこで、トマトmRNAからRT-PCRで上記遺伝子を増幅・クローニングして、塩基配列を決定した。この遺伝子をプローブにして、ウイロイド感染トマトと健全トマト間で、発育段階に応じた該当遺伝子の発現量を解析したが、発現量は極めて低く、健全植物体中でもノザンハイブリダイゼーションの検出レベル以下であった。本遺伝子がウイロイド病徴発現の標的遺伝子となっている可能性は低いと判断した。2.健全トマト実生とRNAサイレンシングで病徴回復状態のトマト種子から生じた実生に、ウイロイドを接種し、RNAサイレンシングで獲得したウイロイド耐性がその後代にも伝達されるかどうか検討した結果、両者間に感受性の違いは認められなかった。一方、病徴回復状態のトマトを挿し木で継代した結果、後代にも病徴の軽い状態が継続的に維持された。実際の農業現場で、RNAサイレンシングで生じたウイロイド耐性を維持・利用するには、種子繁殖ではなく、栄養体繁殖を用いるのが現実的であることが明らかになった。3.異種ウイロイド間で構造ドメインを組換えた弱毒型キメラウイロイドをトマトに接種し、2週間後強毒型の親ウイロイドをチャレンジ接種した。弱毒型キメラウイロイドによって誘導された強毒型ウイロイド配列の一部に対するsiRNAがクロスプロテクションに果たす分子機構を検討中である。4.研究の総括:ウイロイド感染で生じるRNAサイレンシングの農学的意義の評価。3年間の結果を総括して、ウイロイド感染とRNAサイレンシングの関係、RNAサイレンシングのウイロイド病防除への応用の可能性について総合的に考察・評価した。
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