研究課題
植物は様々な揮発性物質を生産し、状況に応じてそれらの物質を細胞外に放出することが知られている。本研究課題では植物の生産する揮発性物質の重要性に着目してきたが、カンキツにおける揮発性物質の中心的な物質は、モノテルペンであった。これまで、固相マイクロ抽出法という、葉から揮発する物質を直接細いニードルに結合された固相に吸着させ、吸着後のニードルをGC又はGC/MSの注入口に挿入して揮発性物質を加熱脱着させて測定する方法を用い、カンキツ葉から実際に揮発している物質の同定を試み、これら揮発性物質の95%以上がモノテルペンであることを明らかにした。このカンキツ葉揮発性物質の主成分であるモノテルペン系化合物の中から、生産量の多い11化合物についてそれらの生物活性を検定し、抗菌・抗虫活性、シグナル伝達作用をもつことを明らかにした。モノテルペン系化合物の合成経路は、Acetyl-CoAを基質とするメバロン酸合成系とPyruvateとG3Pを基質とする非メバロン酸合成系が関与すると考えられ、近年C10モノテルペン系化合物は葉緑体に存在する非メバロン酸合成系で生産されるGPPからモノテルペン合成経路を経て生産する可能性が高くなってきた。非メバロン酸合成系には少なくとも7つの酵素が含まれることが分かっており、この中の1つの酵素である2-C-methyl-D-erythritol 2,4-cyclodiphosphate synthase(ispF)のcDNAの全長をラフレモンより単離した。また、ラフレモンispF遺伝子全長をGFPと融合させ,遺伝子銃で植物に挿入して発現産物の局在性が葉緑体に有ることも明らかにした。
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