研究概要 |
S.melilotiのシグマ因子RpoH_1によって発現される遺伝子群を同定する目的で、rpoH_1変異株と野生株との間でプロテオームおよびトランスクリプトームの比較を行った。プロテオームは、全タンパク質を可溶性・難溶性の各画分に分けて、それぞれ二次元電気泳動に供することによって解析した。その結果、熱ショック処理を施した細胞から、変異株において消失するタンパク質スポットを合計7つ見つけた。それらをMALDI-TOF/MSを用いたPMF解析に供し、S.melilotiの遺伝子産物として同定した。トランスクリプトーム解析は、種々の培養条件の細胞から抽出した全RNAをプローブに、S.melilotiのゲノム全塩基配列に由来する6,268種類のオリゴヌクレオチドを搭載したマイクロアレイのハイブリダイゼーション実験を行った。その結果、熱ショック処理を施した変異株において、同処理の野生株と比べてシグナル強度が1/4以下に減少した遺伝子を20個見つけることができた。以上の解析で同定された遺伝子のうち、groESL_5等の既知遺伝子を含む8遺伝子の上流には、RpoH_1プロモーターコンセンサスの存在が確認された。RpoH_1非依存的に構成的に発現するgroESL_1プロモーターを用いた発現ベクターを作製し、rpoH_1変異株内で各候補遺伝子を発現させることや、各遺伝子の破壊株の作製によって得られた菌株の共生能を試験することにより、新規共生必須遺伝子の同定に向けて目的遺伝子を更に絞り込むことができた。
|