研究概要 |
ピロロキノリンキノン(PQQ)は、グラム陰性菌のペリプラズムに見出される、NADやフラビンに依存しない種々の酸化還元脱水素酵素の補欠分子族である。生合成に関与する遺伝子がいくつかの細菌からクローニングされ、6つないし7つの構造遺伝子(pqqABCDEFG)が同定されている。個々の遺伝子の役割や反応段階の生化学的解析を試みた。 PqqE遺伝子を大腸菌内で発現させ精製し、生化学的な活性を調べた。可溶性酵素として発現されることをSDS-PAGEで確認したが、精製を進めていくと分解が進んだ。DTTを加えることで安定化でき、精製できた。鉄硫黄クラスターを持つことが、可溶性画分の吸収スペクトルから予想できた。 NADPHの存在下でPqqC反応を促進するタンパク質(活性化因子)を精製した。野生株では菌体内に蓄積しているPQQが活性測定を難しくするため、Methylobacterium extorquens AM1のpqqE変異株から精製した。主要タンパク質のN末端アミノ酸配列を決定したところヒドロキシピルビン酸還元酵素であったが、本酵素活性を欠失した変異株でも活性化因子活性が見られた。精製画分の成分の中にチオレドキシンパーオキシダーゼが確認されたので、活性化は過酸化除去によるものと推測した。活性化因子とNADPHの代わりにジチオスレイトールが単独でPqqC反応を促進することを見出した。 精製した生合成中間体をキャピラリーを用いた微量NMRで解析し、その構造を3a-(2-amino-2-carboxy-ethyl)-4,5-dioxo-4,5,6,7,8,9-hexahydro-quinoline-7,9-dicarboxylic acidであると決定した。決定された構造からPqqC酵素反応機構について考察した。
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