研究概要 |
○pH2.5でのX線結晶構造解析による一般塩基触媒の決定 生成物との複合体結晶解析から当初Asp174とAsp153が一般塩基触媒候補と考えられていた。そこでpKa1の4.35よりはるかに低いpH2.5では、一般塩基触媒はプロトン化しているはずである。pH2.5でのX線結晶構造解析の結果、Asp153のみがプロトン化しているのが観察された。この結果からAsp153が一般塩基触媒である可能性が極めて高いことがわかった。 ○変異体酵素の作成とその解析 エンドポリガラクツロナーゼに保存されていると考えられるAsp153,156,173,174の変異体酵素をQuikChangeIIシステムを用いた部位特異的変異導入法により作成した。用いたベクターはpET11b、宿主大腸菌はOrigamiによった。作成された4種類の変異体酵素には全くPG活性はみとめられなかった。したがって、一般酸触媒のAsp173、一般塩基触媒のAsp153は当然であるが、Asp156はAsp153とLow-Barrier-Hydrogen-Bondを形成しており、Asp153と密接な関係があるものとおもわれる。また、基質認識にはサブサイト+1のカルボキシル基の認識に3つの塩基性アミノ酸が重要であり、これらの静電作用が+1の親和力の強さを反映していると考えられる。 ○変異体酵素(D173N)の複合体結晶のX線結晶構造解析 一般酸触媒のAsp173については変異体酵素(D173N)と6GalAの共結晶により複合体を作成し、X線結晶構造解析を行った。その結果サブサイトは+1から-4まで5つあることが明らかにされた。また、サブサイト-1のGalAの歪みが予想より小さかったが、これはD173Nの影響と考えられる。
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