研究課題/領域番号 |
15580076
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田中 晶善 三重大学, 生物資源学部, 教授 (10155111)
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研究分担者 |
妹尾 啓史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40206652)
苅田 修一 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (90233999)
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キーワード | 酵素反応 / 速度パラメータ / 熱測定 / 迅速測定 |
研究概要 |
酵素反応に伴う発熱を指標とした酵素活性の測定について、初年度は、いくつかの酵素を対象として種々の測定を試みた。 グルコアミラーゼによるマルトースの加水分解では、基質濃度と発熱量との間に良好な比例関係が見られ、発熱速度と反応速度を関連づけられると共に、発熱量の測定による基質濃度の定量も可能であることがわかった。酵素と基質を一回のみ混合し、基質が消費され尽くすまでの発熱速度の経時変化を測定する方法、および、基質溶液を数回加え、基質濃度を変化させて、その度ごとに発熱速度を測定する方法のいずれによっても、ミカエリス定数と分子活性という速度パラメータを評価できることが判明した。アスコルビン酸オキシダーゼによるアスコルビン酸の酸化反応でも同様な結果が得られた。いずれの場合も、適切な実験条件を設定すれば、数時間で速度パラメータが評価できることから、本法が酵素活性の有効な測定法であることがわかった。 他方、アミラーゼでは一般に生成物の非還元末端でアノマーの転位が起こり、その発熱が加水分解熱の数パーセントに達するので、その誤差が入りうること;オキシダーゼでは溶液中の溶存酸素が基質の一つであることから、必ずしもすべてのオキシダーゼ類が対象の測定になるわけではないことなどの問題があることがわかった。 また、リパーゼによる触媒反応を種々の基質を用いて測定を試みたが、一般に基質溶液と酵素溶液の混合時に大きな混合熱が観測されることが多く、水溶性の基質を用いない場合は、熱測定の対象とはなりにくいことが確認された。
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