研究課題
近年、自然環境の破壊や環境汚染、生活習慣の変化や食生活の多様化により、「人類を取り巻く地球環境に関わる諸問題」が注視されるに至っている。このような状況において、天然資源の大量消費による有用な植物資源の枯渇にも伴い、天然由来の生薬成分や生理機能性物質の価値が見直されてきた。これらの機能性物質の中で、広義の植物性(ポリ)フェノール関連化合物は、抗菌作用(防腐効果)、消臭作用、血圧降下作用、血糖量上昇抑制作用、抗酸化作用やラジカル消去能などを有し、さらには、免疫力の亢進効果、抗ウイルス作用や制癌作用などの様々な有用生理機能も示すことから、最近では、機能性食品素材、食品添加物、化粧品、医薬品などとして注目されている。本研究では、植物色素類を始めとした天然由来の(ポリ)フェノール化合物の「食品機能素材」等としての使用上の安全性と有効性を拡大させること、すなわち、酵素的安定化と高機能化を通して、これらの機能性物質の薬理・生理活性を向上させ、有効に活用できる新機能性素材へと「酵素的な分子設計」を行うことを主目的に、まず、天然植物色素を始めとしたポリフェノールグルコシド類の安定化と生理機能の高機能化を目的として、リパーゼのエステル交換反応やムラサキイモ培養細胞由来の酵素共役反応系を利用した、(ポリ)フェノールグルコシド類の「芳香族酸エステル化(アシル化)」を可能にするための新規な酵素的方法を確立した。さらに、抗酸化性(ポリ)フェノール化合物等の安定化を始めとした生理機能の改変と有効利用方法のさらなる拡大を主目的に、ユーカリ培養細胞由来のUDP-グルコシルトランスフェラーゼ反応等を用いて、各種の(ポリ)フェノール性化合物やフラボノイド類の酵素的「グルコシル化」による構造機能改変を可能にした。最後に、これらの(ポリ)フェノールグルコシド類の有用生理機能のさらなる応用・利用について検討した。
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