研究概要 |
コケ培養細胞による芳香環の酸化と環境汚染物質の分解 1.サワクサリゴケ培養細胞によるクパレン系セスキテルペンの生成と芳香環への酸素導入-合成した安定同位体(^2H及び^<13>C)標識メバロン酸(MVA)をサワクサリゴケ培養細胞に投与し、3種のクパレン化合物(2-cupareno1,2,5-cuparenoquinone及び2,3-dihydroxycuparene)へ取り込ませた。生成した3種のクパレンを分離し、^2H-NMR及び^<13>C-NMRを測定し、重水素及び^<13>Cで標識位置を決定した。その結果、1)ファルネシル-2-リン酸からクパレンへの環化過程における立体化学、および1,4水素転移と同時にダブル1,3水素転移が起こっていること。2)含酸素クパレン化合物は、クパレンが生成したのち、クパレン芳香環への直接の酸素化によって生ずること。3)ベンゼン環の酸素化の際にNIH shiftが起こっていることを直接証明できた。(投稿準備中) 2.環境ホルモンbisphenol A(BPA)をシダレゴヘイゴケ及びツクシウロコゴケ細胞培養に添加して生分解物を試みた。BPA添加後5日間培養した。培養ろ液成分について、GC分析、GC-MS分析した。その結果、添加したBPAは95%以上分解したこと、分解物として。4-isopropenylphenol、1,2-dihydroxy-4-isopropylbenzene、4-isopropylphenolの存在を明らかにした。また、培養液中でのペルオキシダーゼ活性をグアイアコール法を用いて測定した。BPAを添加したP.striatus培養ろ液は酵素活性をわずかであるが示した(19.5 units/ml : BPA無添加では活性は誘導されない)。また、H.Planusでは430unit/mlのペルオキシダーゼ活性を検出した。 (2O04年度日本農芸化学会で口頭発表)
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