研究課題
基盤研究(C)
(1)トウモロコシやタバコに揮発成分を放出させる鱗翅目昆虫幼虫の吐き出し液中のvolicitin[N-(17S-hydroxylinolenoyl)-L-glutamine]の生合成について検討した。ハスモンヨトウの中腸組織を用いて、リノレン酸ナトリウムとグルタミンをインキュベートしたところ、リノレン酸とグルタミンの縮合だけではなく、17位の参加されたvolicitinの生成をLCMSMSで確認した。本結果は、volicitinは幼虫腸管の共生微生物が生合成するとのこれまでの説を否定し、幼虫自身が合成することを世界で初の報告となった。(2)ササラダニ類オトヒメダニ属の一種の分泌物から、ヤドクガエルの毒として知られるプミリオトキシン類の存在を発見し、有機合成によりその確認に成功した。ダニ類からヤドクガエルの毒が見つかったのは世界で初めての報告である。ヤドクガエルの胃内容物にはダニ類も多く見つかることから、ダニ類起源の毒であることが強く示唆された。更に、若虫のダニにはそのアルカロイドは検出されず、成虫になって初めて見つかることから、ダニ自身がプミリオトキシン類を合成していると結論した。(3)室内塵性ダニの一種オオケナガコナダニから同定された新規化合物α-acaridialがアトピー性皮膚炎患者の健康な皮膚に、市販ダニ抗原よりも明瞭な湿疹反応を引き起こすという臨床上重要な生理活性を発見した。α-Acaridialの類縁体がアトピー性皮膚炎発症物質である可能性は高い。本研究では、α-acaridialの類縁体S-isorobinalをネダニの一種Rhizoglyphus setosusの性フェロモンとして同定した。また、未同定種が多い室内塵性ダニのコナダニ類の同定を簡便にするため、ITS2領域を用いた分子系統樹の作成も行った。
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