研究課題/領域番号 |
15580095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物生産化学・生物有機化学
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
小田 順一 福井県立大学, 生物資源学研究科, 教授 (50027041)
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研究分担者 |
日 隆雄 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (00285181)
黒川 洋一 福井県立大学, 生物資源学部, 助手 (40326088)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | グルタチオン / 阻害剤 / 薬剤分子設計 / 構造変化 / 基質認識 / 遷移状態アナログ |
研究概要 |
γ-グルタミルシステイン合成酵素(GCS)は、グルタチオン合成反応の律速段階を触媒することから、体内グルタチオンレベルを保つための中心的な役割を果たしており、また抗原虫薬や抗ガン剤のターゲットの一つとなる酵素である。今回、我々は、スルホキシミン構造を基盤とする遷移状態アナログとの複合体、および古典的なGCS特異的阻害剤butionine sulfoximine(BSO)との複合体について大腸菌由来GCSの結晶構造をそれぞれ2.1Åおよび2.3Å分解能で決定した。 両複合体中の構造から、これまで分からなかった本酵素のシステイン結合部位は遷移状態で形成され出現することが初めて示された。リガンドが結合していない時には、このシステイン結合部位は大きく開いた空間となっており、フィードバック阻害を引き起こすグルタチオンがこの部位に結合することができることが示唆された。遷移状態アナログが結合すると、241番目と300番目のチロシン残基の側鎖が回転し、阻害剤のシステイン類似部分のカルボキシル基と水素結合のクラスタを形成、同時にシステイン類似部分の側鎖が浅いポケットに結合することで強力な阻害を可能にしていることが明らかとなった。BSOでは末端カルボキシル基がないため、この300番目のチロシン残基側鎖は一定のコンフォメーションをとっていないことが分かった。BSOによる阻害が極めて遅くなるのは、阻害剤結合時のコンフォメーションの違いに起因することが示唆された。 今回得られた結晶構造に基づき、配列解析では分からなかったほ乳類や寄生原虫などのGCSシステイン結合部位の配列を予測することに成功した。この発見は、医薬として有効な新規GCS阻害剤を設計する上で重要な知見を提供するものである。
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