1 植物葉緑体の遊離Mg^<2+>濃度変動機構の解析 葉緑体の遊離Mg^<2+>濃度変動機構の解析として、葉緑体そのものにおける遊離Mg^<2+>濃度測定系を確立し、Mg^<2+>膜輸送系の性格付けを行った。葉緑体をグルコン酸カリウム(pH8.0)中でインキュベーションあるいはNH_4Clを加えると、光を照射しなくてもストロマ内の遊離Mg^<2+>濃度が上昇した。この結果は、光非照射条件下ストロマ内のアルカリ化によって遊離Mg^<2+>濃度が上昇することを示している。ATPase阻害剤であるバナジン酸、モリブデン酸、ジチオスレイトール、N-エチルマレイミドが、いずれもアルカリ化剤による遊離Mg^<2+>濃度の上昇を阻害し、Mg^<2+>濃度の上昇あるいはその維持には葉緑体包膜のプロトン輸送ATPase活性が必要であることが示唆された。 2 植物Mg^<2+>輸送体タンパク質recombinant proteinの調製 シロイヌナズナArabidopsis thaliana cDNAを材料として、微生物Mg^<2+>輸送体タンパク質CorAと相同性の高いタンパク質cDNAを発現ベクターに組み込み、昆虫細胞で発現させた。グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質は発現量が多く、その約40%が可溶性画分に得られた。しかし界面活性剤を用いない精製法では、本融合タンパク質をアフィニティーゲルから溶出することができなかった。そこで様々な界面活性剤を用いて目的タンパク質の可溶化と溶出条件を検討した結果、Nonidet P40またはCHAPSを精製過程のbufferに添加することにより、アフィニティーゲルを用いたバッチ法で精製することができた。今後、プロテアーゼにより融合タグを切断してポソームに再構成し、本タンパク質のMg^<2+>輸送機能を解析する予定である。
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