1 植物葉緑体の遊離Mg^<2+>濃度変動機構の解析 葉緑体そのものにおける遊離Mg^<2+>濃度測定系を確立し、Mg^<2+>膜輸送系の性格付けを行った。その結果、光非照射条件下ストロマ内のアルカリ化によって遊離Mg^<2+>濃度が上昇することを示した。さらに、ATPase阻害剤が、アルカリ化剤による遊離Mg^<2+>濃度の上昇を阻害し、Mg^<2+>濃度の上昇あるいはその維持には葉緑体包膜のプロトン輸送ATPase活性が必要であることを示唆した。 2 Mg^<2+>膜輸送活性測定系の確立 放射性^<28>Mgは使用が困難であるため、蛍光性Mg^<2+>濃度測定試薬mag-fura-2を用いて、リポソームによるMg^<2+>膜輸送活性測定系の確立に取り組んだ。現在のリポソーム作成方法では、リポソーム内へのmag-fura-2の保持効率が非常に悪かったが、脂質の種類、水和時間、凍結融解回数の検討、改善の結果、保持効率は30%以上にまで上げることができた。これによって、mag-fura-2を用いる活性測定が可能となった。 3 植物Mg輸送タンパク質recombinant protein 微生物Mg輸送タンパク質CorAと相同性の高いシロイヌナズナ由来タンパク質のcDNAを発現ベクターに組み込み、昆虫細胞、あるいは、大腸菌で目的タンパク質を発現させた。発現ベクター、可溶化剤の検討、改善の結果、大腸菌から、80%以上にまで目的タンパク質を世界ではじめて精製することができた。上記、活性測定系の確立と合わせ、Mg^<2+>膜輸送タンパク質の分子機能解析が、世界ではじめて可能になった。
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