従来、活性酸素消去食品として知られているお茶類に着目し、活性酸素消去発光の有用性について検討した。お茶類は製造方法により顕著な発光強度の差がみられ、その発光強度が従来の方法を用いた活性酸素消去能と一致した。これら結果は活性酸素消去発光の有用性を裏付けるものであり高い評価を得ている。特に当該研究の結果に基づき改良したCCDカメラによるフォトン検出法は食品の活性酸素消去能を視覚的に判断できることから、加工工程の見直し、生産ラインの管理、品質管理の指標として注目されている。また、当該研究ではheatストレス条件下におけるミトコンドリアからのO_2発生率の増加を明らかにし、疾病時、ストレス負荷時における外因性あるいは食事性の抗酸化物質の取り込みの重要性を明らかにした。そこで、これまで疾病に至るまでのプロセスで同一視されてきた食品の抗酸化性をその機能により1)予防的抗酸化能、2)補足型抗酸化能、3)保護型抗酸化能、4)再生型抗酸化能、の4種に細分化する概念を導入し再検討した。その結果、味噌、納豆は典型的な補足型抗酸化食品、テンペは保護型抗酸化食品、醤油および豆乳は予防型、補足型、保護型抗酸化食品であった。大豆配糖体成分の予防型抗酸化作用から、そのキレート作用を利用した分画法を確立し、大豆配当体成分の抗酸化能を調べた結果、再生型抗酸化能の一つである放射線防御作用が確認され、腸癌に対する大豆食品の有用性が示唆された。これら一連の研究から、食品を薬物治療の補助的な位置へ向上させるためには、食品の機能性についてさらに細分化した考え方の必要性が示唆された。その他、健常者と疾病者血液の活性酸素消去発光分析が疾病判断のためのバイオマーカーとなり得る結果が得られており、疾病時における発光分析と食品の発光分析の組み合わせから疾病予防のための食品選出が可能となる予備的知見を得ることができた。
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