研究概要 |
近年、老齢化に伴う機能性食品開発が盛んに行なわれている。ドコサヘキサエン酸(DHA),エイコサペンタエン酸(EPA)、Sea Buckthorn Oilのような高度不飽和脂肪酸の粉末は、ゼラチン30%以上を含む硬い錠剤型のものが販売されているが老齢者には飲み込むことが難しく、粉末化が望まれている、また、日常食している米に、栄養機能補助兼、嗜好促進のためのフレーバー制御粉末の開発が企図されている。アメリカでは、米への栄養補助剤粉末の添加が販売者の段階で義務付けられている。機能性脂質を安定粉末の形で、機能性食品として供給できるようにするためには、機能性脂質を粉末化するための賦形剤・脂質の抗酸化剤の選択ばかりでなく、粉末中の機能性脂質の分布、粉末形態を制御できなければばらない。噴霧乾燥粉末の形態制御と作成粉末の一粉体観察を目的に、以下の実験を実施した。本年度は、(1)賦形剤として、DEの異なるマルトデキストリンを用いて噴霧乾燥粉末を作成し、粉末構造をSEM,CLSMを用いて検討した。アトマイザー回転数、噴霧乾燥温度により、噴霧乾燥粉末径を制御できた。噴霧乾燥粉末中の空孔サイズは、CLSMを用いて測定できた。単糖であるトレハロースを用いて噴霧乾燥粉末を用いた場合は、中実球粉体が作成できた。(2)中空デンプン粒子を用いて、単一噴霧乾燥粉体中のフレーバー移動挙動をCLSMにより観察する手法の詳細について検討を実施した。(3)噴霧乾燥粉末中のフレーバーエマルション径、粉末径が、フレーバー徐放性、安定性に与える影響、腑形剤の影響について検討した。その結果、粒径が大きい粉体中にあるフレーバーが安定であること、賦形剤のガラス転移温度とフレーバーの安定性におおきな関係があることを明らかにした。
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