1)沖縄島北部亜熱帯常緑広葉樹林における森林構造と地形の関係 樹木の分布は地形の凹凸や傾斜に依存し、その依存性は種やサイズにより異なった。これらは攪乱体制との関係が大きいと考えられた。尾根や斜面上部では台風や季節風などの風による影響を強く受け、谷や斜面下部では氾濫や表土の移動などの影響を強く受ける。これらの攪乱の強度、頻度、規模の違いにより形成される環境条件の違いが、生物にとって多様な住み場所を形成することで、沖縄島北部亜熱帯常緑広葉樹林における樹木群集の高い生物多様性に大きく寄与していると考えられた。各種の異なる地形への対応として、樹種による樹幹の形状の違いが考えられた。 2)固定試験地調査による林分構造に関するデータの整理 1980年から2000年まで5年ごとに行われた毎木調査のデータの電子化を行い、5年ごとの林分ベースでの現存量の変化枯死(枯死量、成長量)を解析した。しかしこれらは1995年までは林分ベースのデータであるため、詳細な森林動態の解析ができない。そこで2000年のデータを個体ベースで扱えるように調査プロットを整備した。 3)International Biodiversity Observation Year (IBOY)観測 2003年6月、9月、2004年1月、4月にIBOYマニュアルに準じて地上無脊椎動物の収集を行った。試料は目レベルまでの同定が完了し、現在、琉球大学農学部昆虫学研究室に保管され、種レベルまでの同定作業が継続されている。土壌動物については2003年9月と2004年3月にサンプリングが行われ、横浜国立大学土壌動物研究室で保管、同定作業が行われている。樹木群集は既存のデータの整理と草本層の調査及び現存種のリストアップが行われた。
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