研究概要 |
1.カブトムシ幼虫の腸管内生理条件の測定:カブトムシ幼虫の腸管を取り出し、その経路にそって細分し、各種の生理条件を測定した。昨年度までにpHと多糖分解酵素活性に勾配があることを明らかにしたが、新たに陽イオン濃度や揮発性脂肪酸濃度にも勾配があることが示された。 2.カブトムシ幼虫腸内微生物叢の非培養法による解析:腸管内容物を中腸と後腸から部位別に取り出し、DNAを抽出して、そこに含まれる細菌の遺伝子をPCR-DGGE法で解析した。16SrDNAに特異的なプライマーを用いた場合、中腸と後腸ではそのパターンが著しく異なることが明らかになった。これにより、腸内細菌叢が、中腸と後腸では異なることが示唆された。 3.カブトムシ幼虫腸内細菌叢の培養法による解析:腸管内容物から嫌気的条件で細菌を単離し、単離菌株の16SrDNAを解析して属を決定する実験を繰り返した。 属数が増加しなくなるまで単離と分類を進め、検出された属ごとの菌株数を比較したところ、中腸ではγ-proteobacteriaとBacilliがほぼ同じで主要な属でありClostridiaがそれに次いでいた。後腸ではBacilli, Actinobacteria, γ-proteo Bacteria, Clostridiaの順であった。また、単離に際し、希釈倍率によって単離される属数に偏りがあることが明らかになった。
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