研究概要 |
樹脂胴枯病のセイリジウム属やキバチの共生菌アミロステレウス属のような菌に感染し樹脂病となった樹木成分と、非感染の樹木の成分を比較することから樹脂病を解析するための分析を4種の樹木で行っている。 1.2種類の樹脂胴枯病時樹木の樹脂成分。11ジテルペンが樹脂胴枯病に感染したヒノキの樹脂から、7つが樹脂胴枯病に感染したローソンヒノキの樹脂から単離された。これらジテルペンの病原菌成長への影響を調べると、前者の主要ジテルペン(torulosol, cupressic acid)は樹脂胴枯病病原菌の成長を促進し、後者の主要なもの(acetylisocupressic acid, isocupressic acid, t-communic acid)は成長を抑制した。(雑誌論文の1) 2.キバチより変色したスギ材中のテンペル類。キバチが産卵時に注入した菌による変色したスギ材から、セスキテンペン3種とジテルペン15種が単離された。健康材の成分化合物と比較し、変色時にアビエタ系ジテルペン多種が新たに分泌されること、菌成長を抑制すると推定できるジテルペンアルコール2種(16-phyllocladanol, sandaracopimarinol)が感染時分泌量を増加することが分かった。(雑誌論文の2) 3.樹脂胴枯病レイランドヒノキの樹脂成分。樹脂胴枯病に感染した樹木の樹脂として3つめ、レイランドヒノキ樹脂から17種のジテルペンと2種のリグナンを単離した。ラブダン系ジテルペンのisocupressic acidとその誘導体が多種見出され、これらが樹脂に特徴的な化合物と考える。これらジテルペンの病原菌への影響を検討し、投稿原稿を準備する。感染した材中の物質の分析も進めている。ステロイド、ジテルペン、リグナンの3グループの化合物が単離されている。
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