研究課題/領域番号 |
15580144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産科学・木質工学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
西田 友昭 静岡大学, 農学部, 教授 (10252165)
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研究分担者 |
平井 浩文 静岡大学, 農学部, 助教授 (70322138)
河合 真吾 静岡大学, 農学部, 助教授 (70192549)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 環境ホルモン / 白色腐朽菌 / リグニン分解酵素 / ビスフェノールA / ノニルフェノール / 17β-エストラジオール / エチニルエストラジオール / ゲニステイン |
研究概要 |
現在、世界各地で生物の生殖異常が観察されており、これには内分泌撹乱物質(環境ホルモン)の関与が指摘されている。このような背景から、細菌類による環境ホルモンの生分解が試みられているが、その分解速度は必ずしも満足いくものではなく、環境ホルモン類のエストロゲン活性(毒性)をも除去されるのかについては報告されていない。 そこで本研究では、木材主要成分の一つであり芳香族性の高分子であるために難生分解性を示すリグニンを、白色腐朽菌と称される担子菌が特異的に酸化分解しうることに着目し、白色腐朽菌による環境ホルモン類(ビスフェノールA、ノニルフェノール、17β-エストラジオール、エチニルエストラジオールおよびゲニステイン)の分解を試みた。その結果、いずれの環境ホルモン類も窒素源を制限した条件下で白色腐朽菌による高度な分解が認められ、これらの分解には、白色腐朽菌が菌体外に産生するマンガンペルオキシダーゼ(MnP)およびラッカーゼ(Lac)の関与が示唆された。 次いで、白色腐朽菌の大量培養を行い、培養濾液からMnPおよびLacを分離・精製し、精製MnPおよびLacを用いて環境ホルモン類を処理した。その結果、ビスフェノールA、17β-エストラジオールおよびエチニルエストラジオールについては処理1時間で完全な消失が認められ、ノニルフェノールについても95%の消失が認められた。また、組換え体酵母を用いるTwo-hybrid法でMnPおよびLac処理によるエスドロゲン活性(毒性)の除去効果を確認した結果、両酵素を用いる数時間処理で、いずれの環境ホルモン類のエストロゲン活性もほぼ完全に除去された。以上の結果より、白色腐朽菌およびリグニン分解酵素処理は環境ホルモンの無毒化に有効であることが示された。
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