研究課題/領域番号 |
15580147
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
吉原 浩 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (30210751)
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研究分担者 |
太田 正光 東京大学, 大学院・農学生命科学研究所, 教授 (20126006)
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キーワード | 圧縮成形木材 / ヤング率 / ポアソン比 / せん断弾性係数 / 3点曲げ試験 / 非対称4点曲げ試験 / スパン / はりせい比 / ひずみゲージ |
研究概要 |
本年度は、圧縮成形木材の力学試験法のうち、静的曲げ試験法の確立を目的として、圧縮率をさまざまに変化させて試験体を作製し、さまざまなスパン/はりせい比で静的3点曲げおよび非対称4点曲げ試験を行い、繊維方向のヤング率、まさ目面と板目面のポアソン比およびまさ目面と板目面のせん断弾性係数に対する圧縮率およびスパン/はりせい比の影響について検討した。 試験体には材質のばらつきの小さなスプルースを使用した。板目面に水蒸気導入のための直径1mmの円孔を一定間隔であけ、高温高圧下で圧縮成形木材を作製した。 まず静的3点曲げ試験から、繊維方向のヤング率およびまさ目面と板目面のポアソン比および曲げ強さを測定した。その結果、ヤング率は圧縮率が50%程度までは上昇したが、それよりも大きくなると上昇が鈍くなり一定化した。また、板目面のポアソン比は圧縮率に関わらず一定であったが、まさ目面のポアソン比は圧縮率の上昇とともに低下した。ポアソン比の低下は、圧縮率が大きくなるにしたがって試験体の中立軸に沿った割れが顕著となり、接線方向に変形しなくなったためであると考えられ、ポアソン比が材質損傷の指標となることが証明できた。また、曲げ強さは圧縮率の上昇にしたがって上昇したが、板目面に荷重を負荷した場合、しばしば中立軸付近でせん断破壊が発生した。これは圧縮成形過程で生じた内部割れによる応力集中に起因すると考えられた。 次に非対称4点曲げ試験から、まさ目面と板目面のせん断弾性係数を測定した。その結果、まさ目面のせん断弾性係数は圧縮率が50%で極大値となったが、板目面のせん断弾性係数はその反対の傾向を示した。圧縮率が50%以下では、まさ目面のせん断弾性係数の上昇は圧密の進行に、板目面のせん断弾性係数の低下は中立軸の割れに起因すると考えられるが、極値をもつ原因などについてはさらに検討を要すると思われる。
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