研究課題/領域番号 |
15580158
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日野 明徳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90012012)
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研究分担者 |
岡本 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20160715)
青木 茂 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50270898)
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キーワード | 海産ワムシ / ケモスタットシステム / 培養排水 / 汚濁負荷低減 / ゼロエミッション |
研究概要 |
種苗生産機開からの廃水のうち、汚濁物質の量、濃度ともに高い値を示すのは海産ワムシの培養廃水であり、ワムシ培養システムの見直しがゼロエミッション化への近道と考えられる。本研究では、ケモスタット式自動連続培養における生産ワムシの品質、物質フローの特性、餌料効率、汚濁物質の形態(溶存、懸濁)などを運転条件ごとに精査し、既存システムであるバッチ式培養との得失を論じた。 1.バッチ培養法では、、時間経過に伴って培養槽内の環境が次第に還元状態に傾斜し、その結果、非解離アンモニアの濃度が上昇してワムシの同化効率を低下させ、未消化餌料の大量発生を招いた。これにより培養水中の有機物量が増加するため、収獲できるワムシの量に比して廃水の有機物濃度が高くなった。 2.連続培養では、つぎのことが明らかになった。 (1)餌料密度を低(4.0×10^5cells/ml)、中(9.5×0^5cells/ml)、高(6.0×10^6cells/ml)の三段階に区分した実験では、約30〜40%の餌料がワムシの成長に利用され、アンモニア態Nとして20%、懸濁態Nとして40%が培養液中に存在した (3)餌料密度と成長効率の関係を精査した。L型ワムシの生産効率の最大値はS型ワムシよりも高く、前者は約40%、後者は約30%であった。 (4)連続培養法はバッチ培養法より排出アンモニア態Nが少なく、至適条件下では、バッチ培養法の1/4以下の排出アンモニア態Nでワムシを生産することが可能であった。 (5)ワムシの品質の比較としてC-N含量を比較すると、連続培養法で生産されたワムシよりもバッチ培養法で生産されたワムシの方が著しく低かった。これは、培養槽内の環境が、バッチ培養では時間経過とともに悪化することによるものと考えられた。
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