研究課題/領域番号 |
15580160
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研究機関 | 東京海洋大学(水産) |
研究代表者 |
延東 真 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 教授 (80128355)
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研究分担者 |
舞田 正志 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 助教授 (60238839)
岡本 信明 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 教授 (40114912)
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キーワード | ティラピア / 好中球 / エストロジェン様化学物質 / 鰾 / 免疫毒性 / 貪食活性 |
研究概要 |
平成15年度は、ティラピア好中球を用いた外因性内分泌攪乱化学物質による免疫毒性評価法の確立を目的とし、下記の研究を行った。 1.鰾からの好中球単離法の確立、2.好中球におけるエストロジェンレセプター(ER)の発現解析、3.エストロジェン様化学物質(17β-エストラジオール)が好中球のザイモサン貪食活性に与える影響、4.17β-エストラジオールのアンタゴニスト(ICI-182.780)による貪食能低下への阻害効果 1.OD550nmで2.0の濁度に調整した大腸菌死菌1mlを魚体重80-140gのティラピアの体側から鰾内に注射し、24時間後に開腹、2mlのPBSの注射、液体成分の回収を行った。鰾内に侵出した細胞について詳しく顕微鏡観察した結果、得られた総細胞数は1.0×10^<7-8>個であり、95%以上が貪食能を持つ好中球であった。 2.ティラピアERαおよびβを特異的に増幅するプライマーを設計し、RT-PCRによって好中球の発現解析を行った。ERαおよびβいずれも、好中球において発現が認められた。 3.好中球(1.5x10^5細胞)に17β-エストラジオールを2時間曝露させた結果、濃度100ppbの時に有意に好中球の貪食能が低下した。10ppbおよび1ppbにおいては有意な低下は認められなかった。 4.3の条件で、ICI-182.780(終濃度1x10^<-6>M)を加え、同様に貪食活性を測定した。濃度100ppbにおいて、貪食活性の低下を有意に抑制した。 以上のことより、17β-エストラジオールはティラピア好中球の貪食能を抑制し、さらにその作用は、好中球に存在するレセプターを介しているということが明らかとなった。また、鰾からの好中球採取法は、細胞の組成、成熟度が一様で、実験の再現性に優れていことが示された。今後、各種エストロジェン様化学物質の免疫毒性評価を行う予定である。
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