研究概要 |
1.ヤツデヒトデ幽門盲のう由来PLA2の部分精製とその基質特異性 ヤツデヒトデ幽門盲のうからPLA2を部分精製しその基質特異性を測定した。その結果、イトマキヒトデ幽門盲のう由来PLA2の基質特異性と同様であった。このことから、イトマキヒトデ幽門盲のう由来PLA2の基質特異性はヒトデ類に共通の性質ではないかと推察された。 2.イトマキヒトデPLA2のT57K変異体の作製とその酵素化学的特性の解明 イトマキヒトデPLA2の「pancreatic loop」部位付近に存在するN-末端から57番目のトレオニン残基をリジン残基に置換した変異体(T57K変異体)を作製した。精製されたT57K変異体は最適pH、最適温度、Ca^<2+>濃度依存性、デオキシコール酸濃度依存性、各種仁価金属イオンの影響においてイトマキヒトデPLA2と類似していた。しかしながら、T57K変異体の比活性はイトマキヒトデPLA2の比活性の1/8と低く、また、ホスファチジルコリンに対する比活性とホスファチジルエタノールアミンに対する比活性の比は170倍であり、イトマキヒトデPLA2の2,700倍と比較して低く、ブタ膵臓PLA2に近い値となった。これらのことから、「pancreatic loop」部位付近の立体構造および電荷がPLA2の比活性および基質極性基特異性に影響を及ぼすことが推察された。
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