研究概要 |
1.イトマキヒトデホスホリパーゼA2(PLA2)の62+K変異体の作製とその酵素化学的特性の解明 イトマキヒトデPLA2の「pancreaticループ」部位付近に存在するN-末端から62番目のシステイン残基と63番目のグリシン残基の間にリジン残基に導入した変異体(62+K変異体)を作製した。イトマキヒトデPLA2をコードするcDNAのpancreatic loopに相当する部位の塩基配列はoligonucleotide-directed dual amber-long and accurate polymerase chain reaction (ODA-LA PCR)法により、Mutan-Super Express Kmキット(TaKaRa)を用いて変異させた。62+K変異体をコードするcDNAを発現用プラスミドpET-16bにサブクローニングした。このプラスミドを用いて発現用大腸菌Origami Bを形質転換した後、IPTG誘導により62+K変異体を発現させた。精製された62+K変異体は最適pH、最適温度、Ca^<2+>濃度依存性においてイトマキヒトデ・ネイティブPLA2と類似していた。しかしながら、62+K変異体の比活性はイトマキヒトデ・ネイティブPLA2の比活性の1/125と低く、また、ホスファチジルコリンに対する比活性とホスファチジルエタノールアミンに対する比活性の比は98倍であり、イトマキヒトデ・ネイティブPLA2の2,700倍と比較して低く、ブタ膵臓PLA2に近い値となった。これらのことから、「pancreaticループ」部位付近の立体構造および電荷がPLA2の比活性および基質極性基特異性に影響を及ぼすことが推察された。
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