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2003 年度 実績報告書

海綿の興奮性アミノ酸ダイシハーベインが局在する細胞の起源と機能の生化学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 15580183
研究機関北里大学

研究代表者

酒井 隆一  北里大学, 水産学部, 助教授 (20265721)

研究分担者 小池 一彦  北里大学, 水産学部, 講師 (30265722)
神保 充  北里大学, 水産学部, 講師 (10291650)
キーワードダイシハーベイン / Dysidea herbacea / 海綿 / 興奮性アミノ酸 / 免疫組織化学 / 局在性
研究概要

Dysidea herbacea成分の個体変動:D.herbaceaは南太平洋浅海域に広く分布するので、今回、パラオ共和国、ヤップ州の各地で採集を行い、個体ごとにダイシハーベイン(DH)の含量を比較した。パラオ3、ヤップ5地点で計17個体の海綿を採集し、それぞれについてDHの含量、生化学的特性を比較した。生化学的特性としては、本海綿には臭素化フェニルエーテルが高濃度で含まれるので、その生合成に不可欠と考えられるペルオキシダーゼ活性、および過酸化水素産生能について調べた。その結果、DHを含むのはヤップ州産の海綿のみであること、しかし、ヤップ産の海綿でも個体間でDH産生が大きく異なることを明らかにした。また、ペルオキシダーゼ活性についてはヤップ、パラオ産ともに高かったが、過酸化水素濃度に関しては、ヤップ産サンプルは高かったものの、パラオ産では低いという結果が得られた。これらの結果はパラオ産とヤップ産のD.herbaceaのではDHの産生のみならず生化学的にも異なることを物語っている。次にこれらのサンプルのタンパク抽出物についてSDS-PAGEを行い比較したところ、ヤップとパラオのサンプル群では明らかに異なるバンドパターンを与えた。さらに興味深いことに、ヤップサンプル間でもDH産生が高いサンプルには100kD、低いサンプルには30kDにそれぞれ特徴的なバンドが現れることがわかった。
D.herbaceaの組織学的研究:これらの海綿の切片を観察した結果、共通して海綿特有の襟細胞、扁平細胞そして、共生藍藻Oscillatoria spongeliaeを観察することができた。これまでの研究で、DHは球状細胞内に存在することが明らかとなっているが、球状細胞はヤップサンプルのみに観察された。しかし、興味深いことにDH含量にかかわらずヤップサンプルには一様に球状細胞が観察された。そこで、抗DH抗体を用いてこれらの切片を染色したところ、ヤップ産の活性が高いサンプルのみ球状細胞が染色されたが、DHほとんどを含まない海綿の球状細胞はまったく染色されなかった。これは同じ球状細胞でもDH産生経路の調整が行われている可能性を示す結果であると考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Ryuichi Sakai, Katsuji Suzuki, Keiko Shimamoto, Hisao Kamiya: "Novel Betaines from a Micronesian Sponge Dysidea herbacea"Journal of Organic Chemistry. 69. 1180-1185 (2004)

  • [文献書誌] Ryuichi Sakai, Hiroki Matsubara, Keiko Shimamoto, Mituru Jimbo, Hisao Kamiya, Michio Namikoshi: "Isolations of N-Methyl-D-aspartic Acid-Type Glutamate Receptor Ligands from Micronesian Sponges"Journal of Natural Products. 66. 784-787 (2003)

  • [文献書誌] 酒井隆一, 吉田和文, 小池香苗, 神保充, 小池一彦, 湊早樹子, 神谷久男: "興奮性アミノ酸ダイシハーベインの組織内局在性:産生生物と存在意義の解明に向けて"第45回天然有機化合物討議会議演要旨集. 629-634 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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