研究課題
基盤研究(C)
魚の鮮度の客観的な鮮度判定法としてK値、VBN、TMA、ポリアミンなどが提案されているが、魚介類は種類が多く鮮度低下が複雑多岐にわたることからひとつの特定の方法で鮮度判定をすることは無理がある。そこで、バイオセンサとニオイセンサをフュージョン化(統合)してK値等の化学成分とトリメチルアミン等の腐敗臭を計測し、得られたデータを総合的に判断して、魚介類の新しい鮮度判定指標を確立するための基礎的検討を行った。K値、旨み成分としてイノシン酸、グルタミン酸、呈味成分としてグルコース、乳酸を簡便に同時計測するため、安価に大量生産できるスクリーン印刷電極により5チャンネルバイオセンサを作製し、その応答特性を評価した。この結果、従来方法と良好な相関が認められ、分析時間は5分であった。このバイオセンサは、冷凍乾燥下100日以上安定に動作した。一方、VBN、TMA、揮発性有機酸等の腐敗臭を検出するため、金属酸化物半導体のSnO_2、応答感度の異なる2種類のZnOを使用してニオイセンサシステムを作製し、その応答特性を評価した。この結果、鮮度低下とともにニオイセンサの応答出力値は上昇し、また、一般生菌数との関係を求めたところ良好な相関を示し、ニオイセンサにより一般生菌数を推定できることが示唆された。バイオセンサとニオイセンサの情報に生菌数の情報を付加して多変量解析の主成分分析を行ったところ、第1主成分および第2主成分の寄与率はそれぞれ50.67%、29.90%で、この2軸でデータの80.57%集約していた。第1主成分は「総合的品質」、第2主成分は細菌に由来する「腐敗」がマイナス方向に、また「生化学的変質」がプラス方向に位置し、魚肉の品質を筋肉中の酵素的分解に起因する劣化と細菌に起因する劣化に判別できることが示唆された。
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食品機械装置 41
ページ: 46-53
Machinery and equipment for food industry 41,7