本研究はフード・ビジネスにおける米飯の提供形態の相違がコメ流通に及ぼしている影響を明らかにすることを目的としているが、本年度はフード・ビジネスの米飯の提供形態や業態の類型を確定することに重点を置き、業界団体、関係機関のヒアリング調査及び資料収集、関連記事の整理を行った。その結果、以下のようなことが明らかになった。 フード・ビジネスは大きく分類すれば、フード・サービス業者と(1)加工米飯業者に分類できるが、前者はさらに(2)レストランや食堂など本来の外食業者、(3)持ち帰り弁当などのいわゆる中食業者、(4)コンビニエンス・ストアや量販店などに弁当・惣菜を納品するいわゆるデリカ業者、(5)事業所・病院・学校等の食堂の運営やケータリングを行う集団給食業者、(6)炊飯を専門とする炊飯業者などに分けられる。 また、以上のような業態を米の仕入形態および米飯の販売形態で分類すれば、第一に、米流通業者から米を仕入れて、米飯もしくは加工米飯の形態で流通業者を経て消費者に販売するか、もしくは他の業者に原料として販売するもの((1)、(6))、第二に、米の形態で米流通業者から仕入れるか、もしくは米飯・加工米飯の形態で第一の業者から仕入れ、それに調理を施して、流通業者を経て、あるいは直接消費者に販売するもの((2)、(3)、(4)、(5))に分けられる。 前者が「炊飯」(米→米飯)という過程を担うことを主たる事業にしているのに対し、後者は「調理」という過程が主たる事業で、「炊飯」はその一部に過ぎないか、もしくは全く「炊飯」を行わない。また、前者にとっては提供商品に占める米飯の位置づけが高く、後者にとっては低い。このような主たる事業及び米飯の位置づけの相違が米の仕入形態に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。
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