本研究はフード・ビジネスにおける米飯の提供形態の相違がコメ流通に及ぼしている影響を明らかにすることを目的とし、業界団体、関係機関、個別業者、コメ産地のヒアリング調査及び資料収集を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 消費者世帯のコメ消費は年々減少しているが、フード・ビジネスにおけるコメ需要は増加傾向であり、コメの総需要に占めるシェアは30%以上になっている。フード・ビジネスはいくつかに分類できるが、主たる事業及び米飯の位置づけの相違が米の仕入形態に大きな影響を及ぼしている。 フード・ビジネス各社はコメの仕入れにおける価格、数量、品質の安定化を求め、コメ産地はそれに対応する必要に迫られている。大手フード・ビジネスとの取引は産地が生き残っていくための重要な戦略であるが、大手フード・ビジネスが必要とする数量を供給するには一つの産地では不十分であるため、農協の系統組織が重要な役割を果たしている。また、中間流通を担う大手卸売業者との緊密な連携も必要としている。 チェーン・オペレーションを展開する大手フード・ビジネスにより、全国で同一規格の米飯商品(弁当、加工米飯等)を供給するという形態が伸びたことで、結果的にコメ産地(-農協)-卸売業者-フード・ビジネスという垂直的な結合が強化され、自由化が進展する中でも安定的な流通経路が個別的に形成されつつある。一方、それ以外のところでは過当競争が展開されており、安定的な結合に加われるコメ産地と、フード・ビジネス対応型集出荷体制が整備できず、結合に加われない産地との格差が生じつつあるということが明らかになった。
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