研究課題/領域番号 |
15580191
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
慶野 征じ 千葉大学, 園芸学部, 教授 (40024591)
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研究分担者 |
櫻井 清一 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (60334174)
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キーワード | トレーサビリティ / 輸入青果物 / 流通機構 / 中国産野菜 / 開発輸入 / 食の安全性 / インフラストラクチュア / 商品差別化 |
研究概要 |
輸入青果物の流通は、海外の生産者から始まり、海外の輸出業者、わが国の輸入業者・商社、卸売業者、小売業者・スーパー等の手を経て、消費者に至っている。発展途上国が輸出国の場合には開発輸入の形態をとることも多い。国内の輸入業者や商社が海外での生産・流通過程をある程度把握できる仕組みが構築されていることもある。輸入後の流通は、市場流通と市場外流通があり、輸入青果物の場合には外食産業や量販店を対象とした市場外流通の比率が大きかったが、青果物の輸入が増えるに従って、最近は市場流通の割合も増えている。そして、一部ではあるが、これらの流通システムにトレーサビリティシステムが組み込まれつつある。トレーサビリティシステムは、食の安全性を確保するために、生産、処理、加工、流通、販売の各段階での情報を追跡し、または遡及できる社会的仕組みである。生産物の差別化や付加価値を目指したシステムである。 本年度の研究では、とくに中国産野菜の流通システムとトレーサビリティシステムに焦点を当ていくつかの事例に基づき検討した。残留農薬事件以降、輸出業者直営または契約農家による野菜生産基地に限定した生産・流通システムが形成され、農薬の種類や使用方法について自主規制が行なわれるようになった。そのため、現地でトレーサビリティシステムの導入が可能となった。とくに、輸入商社が合弁で現地の輸出公司と提携し、連携が密な場合は、生産履歴や流通履歴を明確にしていることが解った。しかし、輸出公司と輸入業者・国内小売業者との提携関係が脆弱な場合は、たとえ生産履歴を開示したとしても、消費者の信頼を得ることができず、本来の機能を果たせないことが解った。一般的に言って、国産青果物に比べて、輸入青果物のトレーサビリティシステムには、困難性がはるかに多いと考えられる。しかし、様々な流通主体の経済環境と意識の変化によって、トレーサビリティシステムの導入の可能性も増えつつあることが解った。
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