研究概要 |
本年度は、光センサーを導入し、糖度による規格選別を行っている柑橘産地の中から5農協および卸売市場等で聞き取り調査を実施し、柑橘での光センサー利用の概況把握を行うとともに、柑橘に先行して光センサーを導入している他の果実における利用状況について調査した。 1,糖度選別に関する実質的な全国的な統一基準がない中で、柑橘産地によって糖度選別の基準は異なっている。一般的に糖度選別導入前の秀、優、良等の区分がそのまま踏襲され、従来の外観のみの基準から外観と糖度を合わせた基準に変更されている産地が目立つ。しかも、秀、優、良等の規格別割合も従来と大きくは異ならないように基準を設定している産地もあり、糖度規格導入前と基本的な販売戦略は変わっていないとみられる。 2,多くの産地で全出荷量の1%にも満たないような最高級品を選別し、独自の規格として出荷しており、その規格は他の規格とはかけ離れた高価格を形成しており、光センサー導入は高級品づくりには成功している。 3,生食用としては出荷せずに格外に落とす基準、いわゆる足切りラインを、ほとんどの農協で設定しているが、年による糖度の変動などのために、年ごとに変更している産地が多い。 4,他の果実に関しては、リンゴでは地域間で糖度に違いがあること、糖度や熟度のみでは品質を評価しにくいことから、光センサーの規格選別への利用はあまり進んでいない。むしろ、内部褐変の検出等、より総合的な品質検査、格外品の検出への利用に進んでいくとみられる。モモでいち早く光センサーを導入し、糖度選別を実施した農協では、他の産地への光センサーの利用が広がり、市場内で糖度選別されたモモの割合が高まるに従って、価格の有利性が低下する等、販売面でのメリットが小さくなっていることが指摘された。
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