今年度は、昨年度から引き続き、柑橘産地での光センサー利用実態の調査を行い、柑橘産地における光センサー導入・利用の実態をとりまとめるとともに、小売店での調査から糖度選別の普及と柑橘販売実態の関係を検討した。さらに本研究全体のまとめとして、現状に光センサーの利用実態と今後の課題について検討した。 柑橘産地において光センサー導入・利用の特徴は以下のとおりである。現状では光センサーは、主要な産地のほとんどで導入されている普及段階に達しており、様々な産地で導入されている。その中には光センサーが有効に機能し得ない産地も含まれている。光センサー導入による各産地共通した対応は高糖度の特選品の創出である。また糖度規格には、マトリックス型と総合品位型の2つの形態があることも明らかになった。選果データの生産段階へのフィードバックのため、園地ごとのデータベース化を図る産地も増えてきている。 小売店での調査からは、店頭での糖度表示は少なく、しかも糖度表示の有無や表示された糖度水準が価格にまったく影響していないことが明らかになった。その要因としては、そもそも等級表示はまったくない等、店頭表示の内容が簡素であること、光センサーの測定精度に対する不安、糖度規格の基準が小売段階まで伝わっていないこと、柑橘類の価格形成では糖度以外の産地、大きさ、外観などの影響が大きいことが挙げられる。 柑橘産地における光センサーは普及段階に達しており、先駆者利潤を期待することはできず、今後はこれまで以上に適切な利用が求められる。今後の課題として、産地の条件に応じた導入の選択、糖度のみに偏重しない商品化戦略、選果データのデータベース化とその有効な利用方法の検討などが挙げられる。
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