4年計画の初年度にあたるため佐渡では、15年10月にリモートセンシングによる衛星データを補足する目的で植生、土地利用、水生生物調査を実施した。また、16年3月下旬、中国洋県で野生トキ繁殖期に現地調査を実施した。中国国家林業局に勤務していた研究分担者蘇は、今後の調査のための協力体制づくりと資料収集の目的で、先に出発し林業局及び北京農業科学院、北京林業大学の研究者に面接し、資料収集を行った。国家級自然保護区の制度改革の内容、野生生物保護目的で地域住民を積極的に参加させる生息地保護重視の保護・監視制度の実態が明らかになった。また、トキ生息地の集落ではWWFによる減農薬水稲栽培実験、畑地では商品作物である梨の減農薬栽培を集落全体が一括して国と契約し、認証を受けて販売する制度を開始していることが分かった。減農薬のプロセスや農薬等に関する資料を収集した。集落組織がこうした農法の導入、普及に大きな役割を果たしている。村民委員会の長や書記等から聞き取り調査を行うと同時に、土地所有、主要農作物、農法等に関する委員会が保有する文書資料からの複写を行った。集落単位での生態農業(有機農業)の実態と政府の補償制度に関する情報が得られた。 野生復帰を目指す佐渡の生息地(予定地)と比較する目的で、衛星データ解析のための植生、土地利用の地上でのデータを携帯可能な器具で位置(緯度・経度)を測定しながら実施した。佐渡の生息予定地と中国野生トキ生息地に関する衛星データを比較する準備が整った。
|