研究課題
基盤研究(C)
本研究は、(1)二次的自然(水田・里山)の農業生態環境をトキが生息可能なレベルに維持するためにいかなる農林業経営と地域振興策が必要であるかを、中国・洋県と日本・佐渡の双方において、政策、当該地域の農業と環境保全の実態把握の調査を行った。二次的自然の維持は農林業的土地利用(概乱)を通してしか実現されない。農林業振興と農業生態環境保全の観点からは中国も日本も同じ課題に直面していることを明らかにした。(2)中国と佐渡での実態調査から、生物多様性保全を通して農林業・農村が活性化されるプロセスとして、食べ物の安全・安心を求める都市の消費者との連携を強化し、差別化した有機栽培農産物の生産に転換することが有効であり、モデルとして提示した。大型水鳥の野生復帰、放鳥に成功した兵庫県豊岡市のコウノトリの場合においても差別化された有機栽培米生産による農業生態環境保全と農林業との共存である。トキ(コウノトリ)は、日本の水田生態系の豊かさを示す指標種であり、事例から得られた成果は、今日、高まりつつある里山・河川保全研究、保全運動にも広く有益なリファレンスを与えることができる。(3)広域の情報を定量的に把握するために、衛生写真のデジタル情報(GIS)から農業的土地利用、農作物、河川、湖沼等における生物多様性を解析する手法を模索した。トキの生息可能な農業生態環境を広域に把握し、土地利用の修復計画の基礎データを提供しうる見通しを得た。(4)また、佐渡で野生トキの生息地保全運動を担った「新穂とき愛護会」の活動記録である故川上敬久教育長が残したトキの生息地保護に関する文書類「川上文書」の整理を進め、文書目録を作成した。『朱鷺の現在・過去・未来-朱鷺と生息地の保護資料集-』(第二号)として発行した。川上文書から「新穂とき愛護会」のトキ保護活動は、今日中国で行われている地域住民参加型の自然環境保護と多くの共通点を持つことが明らかになった。
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