この研究は、農業生産活動を起源とする廃棄物の種類と種類別総量が、生産活動といかに連関しているか、その推定を可能とする。生産分析の「逆問題の解法」ともいえる調査研究である。成果としては、フードシステムの「裏側」とでも言うべき廃棄物の「生産」過程を推計し、フードシステム内の「静脈産業」が確立できる基盤があるか、今後の課題が明らかになる。生産段階や流通・消費段階での廃棄物総量の効果的な削減案の提案もできるようになる。国民経済・地域経済あるいは地域農業経済・経営の効率的な環境維持の運営の基礎ともなる。 先行研究で、「CO_2」に注目した産業連関表があるが、それを「チッソ・リン」を中心にした産業連関表に展開したい。石川県の産業連関表をもとに展開を試みている。 連関推計作業に畜産を加えた。前年度と同様の資料と飼養標準等の資料をもとに、生産過程における資材種類と量を特定し、それぞれの生産活動と廃棄物量の連関推計を試みた。しかし、畜産の生産活動に関する原データの精度が不明確であり、特定するには調査を進める必要がある。このために、データの収集と検討を進めた。耕種作と畜産との推計法に違いがあるか検討し、連関推計の精度を高めた。 廃棄物の「生産」は、同時に多種類の排出になるため、従来の生産経済学的モデルの援用では不十分である。このため、逆推計の可能性を中心に、新しい生産一排出連関モデルの構築を進めている。
|