1.理論モデルの構築 国内外の先行研究論文である農業生産関数に基づくモデル、確率的生産関数に非集計データを適用したモデル、さらに、土地利用に対する確率的選択モデルをレビューした上で、水田賃貸借市場における貸し手、借り手の確率的選択行動に基づく需給関数を定式化し、統一価格ダブルオークションに関する実験経済学の研究成果等を踏まえ、需給均衡点における地代と賃貸借面積を同時決定するモデルを定式化した。 2.アンケート調査の実施 水田賃貸借に関する農家の反応データを得るために、国、都道府県担当部局等の協力の下に調査に協力して頂ける土地改良区を全国から8地区選定し、そめ改良区を通じて農家へのアンケート調査を実施した。あわせて、現地調査を行い、農地や農業水利施設の状況について調査した。なお、アンケート調査に当たっては、個人データをそのままの形で活用しないこととし、その旨をアンケート票の表紙に明記した。 3.結果の発表 定式化したモデルについて、米国オクラホマ州で開催された"Southern Agricultural Economic Association"の年次大会において、"Have the Agricultural Public Investments Improved Rice Productivity through Farmland Usage Reallocation? : An Empirical Study on Japanese Paddy-field Rental Transactions"として発表を行って、他の研究者との意見交換を行った。また、プロトタイプのモデルによる成果をまとめて『農業経済研究』の論文「水田賃貸借における圃場整備の影響に関する実証研究-確率的選択モデルの適用による地代と賃貸借合意水準の同時決定-」として公表した。
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