研究概要 |
籾殻灰を混入したコンクリート(籾殻灰コンクリート)は,籾殻灰のポゾラン活性により,無混入の場合に比べて強度増加やアルカリ骨材反応に対する耐久性が著しく改善される.このような効果は,一般に使用されている高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの混和材に比べて同等あるいはそれ以上であることが確認されている.しかしながら,籾殻灰はポゾラン活性が大きいことから,コンクリート中のアルカリを消費する効果も大きく,コンクリートの中性化を早める傾向が実験により確かめられている.したがって,籾殻灰を有効な混和材として実用化するためには,中性化特性の把握ならびに中性化の抑制方法の検討が必要であり,本年度は以下のような研究テーマについて実験を行い,研究成果を得た. 1.籾殻灰コンクリートの中性化特性とその影響要因を明らかにする. 籾殻灰を結合材質量の内割で0,10,20および30%混入したコンクリート(水結合材比W/B:60%)について促進中性化試験を実施した.この結果から,コンクリートの中性化速度は,籾殻灰の混入率が増加するほど無混入の場合に比べて大きくなることを確認した. 2.中性化を抑制するための水セメント比,籾殼灰混入率,単位水量などの最適な配合を検討する. 水セメント比を50%および60%として,籾殻灰を結合材質量の内割で0,10および20%混入したコンクリートについて促進中性化試験を実施した.また,透水性型枠を用いてコンクリートを打設し,施工方法による中性化抑制の方法も検討した.これらの結果から,水セメント比が小さいほど中性化は抑制されることが確認できた.また,透水性型枠の利用は中性化抑制に有効であるが,使用する透水性シートの種類によってその効果が大きく異なることが実験結果より明らかとなった.
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