研究概要 |
屋上緑化の設置に際しては,設計荷重,妨根・防水対策,潅水設備等考慮すべき制約条件が存在する.そこで,屋上緑化の設置を想定していない既存の建造物へ容易に設置でき,都市型洪水等の防止を考慮した一時的に流出を抑制する雨水貯留機能を併せ持つコンテナ型緑化システムを構築した.そのため,上部の植栽部と下部の雨水貯留槽を独立させ,上部には,リサイクル資材である発泡廃ガラスを植栽土壌として利用し,下部には雨水を貯留して上部の植栽部への潅水源とした.本年度は,小規模なシステムを構築し,本システムを屋上に設置した場合の植栽部での植物の生育状況から,発泡廃ガラス資材を培養土して使用する可能性および問題点の検討,室内実験による植栽部での土壌水分の分布状況を計測から下部の雨水貯留部からの毛管補給による潅水方法の妥当性の検証を行った.まず,発泡廃ガラス資材の培養土としての利用可能性については,ブラックペパーミントを使用して,その生育状況を観察した.本資材単独で使用しても植物は生育するものの一般の培養土を使用した場合に比較すると生育状況は劣るが,堆肥等有機資材を混合することによりほぼ,同等の生育状況を示した.毛管力による底面潅水は有効であったが,貯留した雨水の外観から詳細な水質の変動状況について検討する必要性が示唆された.土壌水分の計測実験から,今回の小規模な緑化システムにおいては,植栽部の乾燥状況に応じて,毛管補給量が増減することので,毛管補給のみで,潅水しうることが,発泡廃ガラスの粒径は適切なものを選択する必要があることが判明した.
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