研究概要 |
本年度は,まず,供試体の体積変化を直接測定できるよう,用いる三軸試験システムの改良を行った.二重セルの製作や計測・制御プログラムの作成に多少時間がかかったが,意図するシステムが構築できたので,このシステムの性能評価も兼ねて土のみの供試体を用いた圧密排水三軸試験を行った.その結果,二重セルと差圧計を用いた体積変化の測定精度にやや不安は残ったものの,ほぼ期待どおりの性能を有することが確認できた.従って,まずは土粒子と変形性粒子である発泡プラスチック破砕片を1:1で混合した供試体を作製し,圧密排水三軸試験を行って供試体全体の体積変化量と排水量を個別に計測しながらデータの収集を行った.現時点までに得られている結果を見ると,予想以上に発泡プラスチック破砕片の圧縮量が大きくなっているように感じられるが,この原因が対象とする混合土の本質的なものか試験システムの精度によるものかを検討しているところである.また,デジタルカメラを用いた画像撮影・解析については,細かい粒子を含んでいる上に個々の粒子の圧縮量も比較的小さく,現段階では定量的な評価には結びついていないが,次年度さらに検討を進める予定である.なお,本年度は,幸運にもX線CTによって混合土の内部構造を撮影できる機会を得たため,圧縮による変形性粒子の体積変化量を画像解析によって定量的に評価することを試みた.これまでの研究で,混合土の圧縮は通常の骨格変形による体積変化と変形性粒子の圧縮に起因するさらなる体積変化に分類できる可能性を示してきたが,X線CT解析によりこれを定量的に裏付けることができた.なお,X線CT解析の結果を中心に本年度の研究成果をとりまとめて国際会議の論文として投稿したところ,アブストラクト審査をパスして最終論文審査に付されることとなった(結果は平成16年6月に通知される予定).
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