研究課題/領域番号 |
15580221
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山下 淳 愛媛大学, 農学部, 教授 (40036405)
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研究分担者 |
猪之奥 康治 生研機構, 評価試験部, 室長
有馬 誠一 愛媛大学, 農学部, 助教授 (60335891)
鶴崎 孝 愛媛大学, 農学部, 教授 (50036323)
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キーワード | 農業機械 / 農作業事故 / 安全性 / 生体カオス / 耳朶脈波 / カオスアトラクタ / リアプノフ指数 / 作業限界 |
研究概要 |
農作業事故の多くは、「疲労の蓄積」や「精神集中度の低下」が原因している。このようなヒューマン・ファクタによる農作業事故を未然に防ぐ方策として、生体が発する脈波信号からカオスの特徴量を算出し、精神心理状態を把握して、そのレベルや短時間後の身心状態を予測し、作業の継続が可能か否かを判断する生体情報解析に関する基礎研究を行った。今年度の研究実績は、次のようである。 1.耳朶脈波をベースにした「精神心理状態診断システム」の試作(山下、鶴崎、有馬、猪之奥) (1)発光ダイオードから赤外光を照射し、血液の増減量の変化をフォトトランジスタで受けるクリップ形の耳朶脈波検出センサを試作した。また、センサの取付け治具及び装着法を検討し、ノイズ対策に成功した。 (2)上述の脈波検出センサ、脈波信号を送受信するAD変換器内蔵のテレメータからなるシステムを試作し、機械搭載に適した大きさにコンパクト化した。 (3)既製のカオス解析ソフトを用い、短時間(10秒)毎、及び最長10分間連続データ表示できるよう改良した。また、脈波、アトラクタ、リアプノフ指数表示ができるようにした。 2.システム検証のための室内及び野外実験(山下、鶴崎、有馬、猪之奥) (1)精神集中が要求される静的作業として、ビーズ摘み作業、穴入れテスト、計算テストなどを行った結果、安静時に対して作業時では、アトラクタが変形し、リアプノフ指数が増大することから、これらが作業者の精神心理状態把握に有効であることを確認した。 (2)動的作業として、傾斜の異なる草地を草刈り車で周回走行したときの操縦者の精神集中度を調べた。その結果、緩傾斜(10°)では緊張度が少なく、リアプノフ指数は0.8程度、15°以上では転倒への気配りから精神集中度が増し、1.2程度と急増した。以上から、緊張度が少なく安全作業が遂行できる限界傾斜度は15°程度と考えられた。
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