研究概要 |
自脱コンバインによる収穫作業では,作物条件,圃場条件や,機械条件によって穀粒や藁の流量が逐次変化している.穀粒損失や夾雑物混入の低減を図るため,オペレーターはこれらの状況を判断し,経験に基づいて唐箕ファンの風速を変更するなどの対応行っている.したがって,外的な各種条件の変化に対し,最適な選別部の状態を制御によって常に実現維持することが重要である. 本研究は,唐箕ファンから送り出される選別室内部の風速分布を明らかにし,選別室内部に落下する籾の飛行軌跡を力学的に解明して,様々な穀粒流量でのシミュレーションを行い,唐箕ファンの回転速度の適正化に資することで,選別品質の向上を目指すものである. 平成15年度は籾の飛行シミュレーションを実施すると同時に,PIV(Particle Image Velocimetry ;粒子画像流速測定法)およびFVM(Finite Volume Method ;有限体積法)を用いて,機械装置内部の風速分布解析を最終的な目標として,簡易な風洞を対象とした測定および数値実験を行い,両者の妥当性について確認した. 風速分布に関する解析結果から,本年度はより実際の装置内部形状に近い状況での検証を行うため,装置内部の細部詳細形状を再現したモデルを構築し,モデル化した同装置内部の鉛直2次元に関する風速分布について,FVMを用いた数値実験を行った. 解析では,選別風の流れを2次元定常の非圧縮性粘性流体と仮定したプログラムを開発し,計算を行った.得られた結果をPIV(粒子画像流速測定法)解析結果および熱線風速計による実測値と比較したところ,十分な精度を有することが判明し,FVM解析結果が実際の選別風の分布状況を再現しうることを示した.
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