研究概要 |
<研究の背景と目的> 穀物の低温下における除湿・乾燥などの換作は,製品の高品質の要求には応えられるが,乾燥速度は比較的遅く能率が悪い。また,カット野菜の冷水冷却はビタミン類の流失等が避けられず,水きり法と殺菌法にも課題を残している。 本研究は,真空(減圧)流動層を利用して,穀物とカット野菜を高品質かつ高能率的に乾燥または冷却するとともに,殺菌システムの可能性を探ろうとするものである。 <研究結果> 1)設計製作した真空流動層装置に,さらに常圧流動層実験が可能になるように,ターボブロワおよび電熱ヒータを組み込んだ。以下,塔内径は80mmである。真空下での風速は熱線風速計の指示値に圧力補正を加えて求めた。 2)基準物質としてのシリカゲルの最小流動化速度は圧力0.4kPa下で2m/sであった。 3)空気温度35℃,風速3m/s,圧力21kPa〜61kPaでは,シリカゲルの乾燥速度は,圧力およびレイノルズ数に反比例して速くなった。 4)コムギおよびモミの常圧下における最小流動化速度は,それぞれ4.8m/s,4.4m/sであった。 5)コムギおよびモミの30kPa〜60kPaにおける最小流動化速度は,それぞれ1.6m/s,1.2m/sであり,圧力が低くなるほど空気密度が小さくなって流動化速度は速くなるものと考えられた。 6)モミの乾燥速度には真空の効果はほとんど認められなかった。これに対し,コムギには乾燥初期に真空の効果が大きくみられた。
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