研究課題
基盤研究(C)
九州地域における多くの乳牛舎では夏期の暑熱ストレスによる乳量の減少や乳質の低下が生じるため、暑熱対策が講じられている。一般に普及している暑熱対策は換気扇による換気と噴霧設備による噴霧が実施されている。研究は牛舎内の換気扇や噴霧設備による気温低下効果について調査し、その効果が牛体の貯熱量の変化を指標として解析を行った。解析方法は牛体の熱収支式について、各要素を求めた。噴霧設備による気温の低下効果は噴霧の有無により大きな差ができ、噴霧ありでは気温降下に伴い相対湿度は上昇した。また、対象牛舎では1m^3中で1gの霧が蒸発した場合、約0.96℃の気温が低下することが明らかになった。噴霧による牛体への影響をみるため、熱収支各要素の変化を調べると、噴霧を行っていない場合、日中では牛体貯熱量が徐々に増加し、10時頃から100Wm^<-2>を越える。噴霧を開始すると、気温が低下し顕熱放散量が僅かに増加した。牛体表面が濡れるため、潜熱放散量が大きく増加し、牛対貯熱量は60Wm^<-2>前後まで低下したが依然として暑熱環境下であった。対象牛舎の噴霧と換気扇による貯熱量を0Wm^<-2>となる最適環境へ導くための条件を調査するためシミュレーションを実施した。風速4ms^<-1>では蒸発量を制御することにより最適状態へ導ける環境範囲は狭く、暑熱環境下では最適な状態へは導けない。噴霧していない場所での気温と相対湿度による最適風速を導くとかなりの強風が必要であり、強風の影響が飼養管理に問題となる。そこで、牛体への風の当て方と噴霧の撒き方を変えて、牛体の3/4に風が当たり、さらに霧で濡れるようにした場合を仮定にして、風速4ms^<-1>で相対湿度60%の場合において気温が38℃まで最適環境へと対応することが明らかになった。
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