研究概要 |
本年度は、Megasphaera elsdenii培養菌体を、子豚に経口投与して便性状や増体重の推移を検討した。3日齢子豚10頭、20日齢子豚10頭、28日齢子豚8頭を養豚農家から提供していただき、実験に供した。子豚は23日齢時に強制離乳し、抗菌剤や生菌剤無添加の市販保育期用試験飼料(SDS No1)を与えた。本研究であらかじめブタから単離し選抜したMegasphaera elsdeniiをTYLブロスで一夜培養し、遠心分離した菌体を腸溶性カプセル(三生医薬)に充填して、半分の子豚に3日間連投した。対照群には生理食塩水を投与した。投与開始日(0)、3,7,14,30日後に糞便を採取するとともに体重測定を行った。糞便性状や一般臨床症状を期間中観察しスコア化した。 糞便中のMegasphaera elsdenii菌数は、3日齢および20日齢子豚で投与開始後一過性(5日間)に増加したが、その後対照群でも増加が認められ、菌数の差はなくなった。28日齢子豚では有意な差は認められなかった。この実験でMegasphaera elsdeniiが高値を示した時期には、Lactobacillus spp.も高く推移しており、両菌種間に正の相関が認められた。糞便性状は、投与群で改善が見られたが有意な差ではなかった。また、被毛スコアが改善傾向を示した(P=0.12)。その他の臨床観察スコアや増体の改善効果は、認められなかった。次に大腸崩壊性カプセル(アイセロ化学)を用いて、20日齢子豚10頭をもちいて同様の試験を行った。腸溶性カプセルとほぼ同様の結果が得られた。
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