平成15年度から平成16年度に本申請課題に向けて研究を施行した結果、明らかになった点をいかに示す。 1.めん羊成熟脂肪細胞と脂肪前駆細胞との共培養法を確立した。その結果、成熟脂肪細胞が脂肪前駆細胞の増殖・分化を制御しているという知見を得た。 2.めん羊成熟脂肪細胞はレプチンおよびTNF-αを合成分泌し、それ等は成熟脂肪細胞および脂肪前駆細胞の増殖・分化の抑制因子として作用し、TNFは細胞のアポトーシスによる増殖・分化を抑制すること、レプチンはTNF-αよりもその能力が低いことを立証した。さらに、インスリンおよびIGF-Iがそれ等の合成・分泌を制御していることを立証した。 3.めん羊脂肪前駆細胞の増殖はMAP kinase系を介し、分化はPI3-kinase系を介して発現し、転写因子PPAR-γ2の発現誘導の活性化にPI3-kinaseの活性化が必要であることを立証した。 4.Adipogenesis過程に関与する遺伝子を探索した結果、 (1)脂肪組織で特異的に発現する新規因子、Adipogeninを同定し、それは細胞膜に局在する膜タンパク質であることが確認された。脂肪前駆細胞分化過程においてその発現は上向き調節されることより、Adipogeninは脂肪細胞分化調節作用に重要な役割を演じている可能性を示唆した。 (2)Gタンパク共役受容体ファミリーの中、短鎖脂肪酸をリガンドとするGPCR43の発現が脂肪細胞形成の進行に伴い増加し、プロピオン酸による脂肪細胞の分化促進がGPCR43を介する抗脂質分解作用によることを立証した。
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