研究課題/領域番号 |
15580256
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
武脇 義 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00021717)
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研究分担者 |
志水 泰武 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (40243802)
小森 成一 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70195866)
海野 年弘 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (90252121)
阿閉 泰郎 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90151084)
松山 勇人 岐阜大学, 応用生物科学部, 助手 (80345800)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 脳血管 / 腸間膜動脈 / 内皮細胞 / グリア細胞 / 一酸化窒素 / プリン作動性神経 / 血流調節 / 脳底動脈 |
研究概要 |
本研究は脳血管の血流動態を新たな視点から追求するために企画されたものである。一般に動脈血管は支配交感神経と血管内皮から遊離される生理活性物質(情報伝達物質)がその効果器である平滑筋に作用して収縮・弛緩を調節することにより営まれているが、ここでは各種動物の血管の多用な働きを明らかにした。実験にはハムスター、ラットおよびニワトリ・ウズラの脳血管や腸間膜動脈を用いた。 (1)生体から摘出した標本の内、各種動物の脳底動脈と家禽の腸間膜動脈の一部は自発的なslow waveが電気生理学的に導出され、それに連動した機械的収縮を有していることが明らかになった。また、セロトニン、AChあるいはATPなどの候補伝達物質や神経刺激に応じて非常に時間経過の緩徐な脱分極とそれに引き続いた収縮が誘発された。この様に血流の調節が電気的あるいは液性のシグナリングにより仕組まれていることを示している。 (2)免疫組織学的に脳底動脈の支配神経は、主にセロトニン或いは一酸化窒素含有ニューロンあるいはグリア細胞が豊富に観察された。一方、腸間膜動脈ではタッキニンおよび一酸化窒素含有ニューロンに加え、家禽ではコリン・アドレナリン作動性神経線維に富んでいた。さらに機械的反応を指標にした実験では、プリン作動性ニューロンの存在が顕著であった。 (3)電気生理学的・薬理学的検索により、脳底動脈ではこれまでに未だ証されていない支配神経以外の細胞間の液性および電気的シグナルによる興奮伝導・伝達が派生していることが明らかとなった。これらの事象には神経毒や細胞内へのCa取り込み阻害薬に抵抗する興味ある知見が得られた。一般に血管支配神経はC線維であり、電気刺激応答には比較的強い電気刺激(300-1500μs・20-30V)のパルスを必要とするが、脳底動脈では1/30-100程度の微弱な電流パルスに応答する神経機構が存在し、血流調節を巧妙に仕組んでいることを明らかにした。また、腸間膜動脈では、プリン作動性神経から遊離した伝達物質が内皮細胞に作用して平滑筋を直接・間接的に収縮・弛緩に関与して血流の調節を司っていることも明らかにした。これらの発見はこれからの血流調節や血圧調節などの新規治療薬の開発に新たな知見を与えるものと思われる。
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