研究概要 |
鶏伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)感染における致死的病態機構を解明するため、病原性が異なる超強毒型および従来型株のキメラウイルス作出とウイルスタンパク質VP5と相互作用する宿主細胞因子の検索を行った。 致死的感染を起こす超強毒株と非致死的従来型病原株のキメラウイルスを作出するため、超強毒型OKYM株全ゲノムと従来型GBF-I株の分節AをcDNAクローニングした。これらをもとにリバースジェネティクス技術によるウイルス粒子構築に必要なコンストラクトを作出した。 ウイルスタンパク質と相互作用する細胞側分子を明らかにするため、IBDV非馴化病原株が増殖可能な鶏B細胞を起原とするLSCC-DT40細胞mRNAを用い、Bacterial two-hybrid systemによる分子間相互作用検出用cDNAライブラリーを作出した。作出したcDNAライブラリーのクローン数は約60,000、挿入cDNA平均長は900bpであった。 IBDV非構造タンパク質VP5が親和性を示す宿主細胞分子について、two-hybrid systemによる探索を行ったところ、リボソームタンパク質S9,L9,S15およびS21とSignal peptidase complex、NADH dehydrogenase subunit V、Immunogloblin light chain、Peroxiredoxin I相同タンパク質およびデータベース検索で既知の分子と相同性を示さない3種のタンパク質がVP5との相互作用陽性を示した。また、VP5の細胞内動態解析に用いる抗VP5特異抗体を作出するため、免疫抗原とするGST-VP5融合タンパク質の発現・精製を行った。
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