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2004 年度 研究成果報告書概要

潰瘍性大腸炎モデル動物における消化管運動障害へのマスト細胞の関与

研究課題

研究課題/領域番号 15580260
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 基礎獣医学・基礎畜産学
研究機関山口大学

研究代表者

佐藤 晃一  山口大学, 農学部, 助教授 (90205914)

研究分担者 那須 哲之  山口大学, 農学部, 教授 (70035559)
林 俊春  山口大学, 農学部, 教授 (90111484)
森本 将弘  山口大学, 農学部, 助手 (30274187)
研究期間 (年度) 2003 – 2004
キーワード潰瘍性大腸炎 / IL-1β / 消化管運動 / CPI-17 / マクロファージ / プロテアーゼ受容体2
研究概要

潰瘍性大腸炎モデルマウスを作成し消化管運動機能抑制機構の検討を行い、下記の結果を得た。
潰瘍性大腸炎モデルマウスは、雌BALB/cマウスに4% DSSを自由飲水させることで作成した(DSS投与マウス)。対照群(Controlマウス)には7日間水道水を自由飲水させたマウスを用いた。DSS投与マウスでは、激しい下血、体重減少、結腸の短縮が見られ、炎症の程度を示すMPO(Myeroperoxidase)活性は粘膜層で著しい増加が観察されたが、平滑筋層での変化は認められなかった。しかし、遠位結腸の輪走筋および縦走筋の筋層は肥厚し、それぞれの筋層を構成する細胞数は増加した。この原因を解明するため、レーザーマイクロダイセクション法により、消化管筋層を輪走筋層、縦走筋層、筋層間層の3つに分け、それぞれのIL-1βのmRNA量を定量的PCRにより測定したところ、筋層間層において有意な増加が認められた。さらに、筋層間マクロファージの数はDSS投与マウスで増加し、形態も活性化型へ変化していた。免疫組織学的手法によりIL-1βの発現細胞を検討したところ、その多くは筋層間マクロファージに発現していることが明らかとなった。しかし、光学顕微鏡レベルではマスト細胞の増加は観察されなかった。これは、用いた組織がDSS7日目であり既に顆粒を放出し染色できないためと考えられた。
DSS投与マウスの摘出結腸平滑筋標本における収縮の変化を検討したところ、Carbachol収縮は抑制された。一方、このCCh収縮抑制はCOX阻害薬であるIndomethacin、NOS阻害薬である1-NMMA、またはK_<ATP>チャンネル阻害薬であるglibenclamideなどの各種阻害薬によって回復しなかったため、NOや抑制性PGsを介したものではなく、K_<ATP>活性亢進によるものでもないことが示唆された。DSS投与マウスの摘出結腸平滑筋標本より作製したβ-escin脱膜化筋では、収縮のCa感受性増加機構が抑制された。さらに、DSS投与マウスの摘出結腸平滑筋標本では、CPI-17タンパク質発現量が減少した。これらのことより、潰瘍性大腸炎モデルにおける消化管運動機能不全機構の少なくとも一部は平滑筋収縮のCa感受性増加機構の阻害によることが明らかになった。
一方、マスト細胞より放出されるトリプターゼやトリプシンにより活性化されるプロテアーゼ受容体2(PAR-2)を介する消化管弛緩はDSSラットにおいて強く抑制され、これはPAR-2 mRNAの減少に起因することが明らかとなった。PAR-2は炎症において重要な役割を担うと考えられており、今後更なる解析を必要とする。
以上の結果より、潰瘍性大腸炎においては、マクロファージの活性化により産生されたIL-1βにより平滑筋細胞のCPI-17発現量が減少し、ミオシンフォスファターゼ活性が亢進し、リン酸化ミオシンの減少の結果、平滑筋収縮が抑制される一方、PAR-2を介する弛緩も破綻し、これらの結果、消化管運動不全が起こることが示唆された。

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公開日: 2006-07-11  

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