研究課題/領域番号 |
15580262
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小谷 猛夫 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00081589)
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研究分担者 |
桑村 充 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 講師 (20244668)
杉浦 喜久弥 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (30171143)
山手 丈至 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (50150115)
熊谷 大二郎 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (70316016)
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キーワード | 間葉系分化 / 多分化能幹細胞 / シュワン細胞株 / TGF-β1 / 悪性線維性組織球腫株 / 再生医学 / 骨芽細胞分化 / 脂肪芽細胞分化 |
研究概要 |
本研究の目的は、ラットに自然発生した腫瘍から間葉系細胞株を確立し、それらの特性を間葉系細胞の分化の観点から解析するとともに、多分化能幹細胞株を用いて間葉系の分化メカニズムとその分化規定因子を明らかにすることである。さらに、これら細胞株を用いて間葉系細胞の病態生理学的な役割を追求することで、種々の病変形成における間葉系細胞の機能的役割を明らかにすることである。本年度においては、高分化型の間葉系細胞の確立を試みた。 ラットの皮下に発生した悪性シュワン細胞腫から移植腫瘍と培養細胞株の確立に成功した。この細胞株は、細胞外基質であるコラーゲン存在下よりもラミニンの存在下で細胞突起をより進展すること、またED1に陽性となるマクロファージ様の特性を現すことを明らかにした。さらに、TGF-β1の存在下においてDNA合成能が低下し、細胞周期の初期規定遺伝子であるc-mycの発現が低下することを示した。これはシュワン細胞はTGF-β1により細胞増殖が抑制されることを示す。また、シュワン細胞はlow-density lipoprotein receptor-related proteinを発現し、その発現はLPS存在下で低下することを明らかにした。これらのデータはシュワン細胞の機能的特性は周囲の微小環境因子に依存し変化することを示唆する。 現在は、多分化能を示すラットの悪性線維性組織球腫由来細胞株を用いて骨への分化と脂肪芽細胞への分化能について検討している。 この研究は再生医学における間葉系細胞の分化機序の解明に資するものである。
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