リンパ球移入実験 T・Bリンパ球欠損severe combined immunodeficiency(SCID)マウスにコントロールマウス(C.B-17)の脾臓リンパ球(10^7個)を腹腔内投与すると、2週間後には脾臓のリンパ球領域にCD3陽性細胞が定着し、同時にtyrosine hydroxylase(TH)陽性交感神経線維の有意な増加が認められた。このTH陽性線維維の増加は、C.B-17の脾臓Tリンパ球(10^6個)を移入しても同様に認められた。従って、Tリンパ球がなんらかのneurotrophic factor(s)を放出している可能性が示唆される。 除神経後の脾臓の神経再生 C.B-17に交感神経毒である6-hydroxydopamine(6-OHDA;250mg/kg body weight)を腹腔内投与し、投与後経時的に、脾臓のTH陽性線維の発現変化を調べた。1日目にはTH陽性線維はほぼ完全に消滅し、その後徐々に再生し、約1カ月で元のレベルに回復した。現在、SCIDマウスおよびHuman IL-6 transgenicマウスに6-OHDAを投与し、その後の神経再生について検討中である。 ノックアウト(KO)マウスを用いた実験 インターロイキン(IL)-1 receptor antagonist KOマウス(IL-1Ra KO)では、脾臓リンパ球領域のTH陽性線維がコントロールマウス(C57BL/6)に比べて有意に多く、一方、IL-3/IL-3R KOマウスでは、有意に少なかった。従って、IL-1、IL-3が脾臓における交感神経の軸索伸展に促進的に働いていることが示唆された。
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